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DXは成果が出やすい既存事業領域で始める──「顧客の行動変容」と「顧客接点の点在化」が鍵

ゲスト:あいおいニッセイ同和損保 経営企画部 佐古田有宏氏、板谷和彦氏【中編】

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DXプロジェクトは、既存事業で成果が出やすい領域で始める

あいおいニッセイ同和損保 板谷 和彦氏(以下、敬称略):突き詰めると、お客さまに提案できる新しい事業を作るために、まずはお客さまを知るということになりますね。これからではありますが、商品やサービス開発に顧客のインサイトを取り入れて考える第三期と呼べるプロジェクトに繋げているところです。また、インタビューや行動観察の内製化も進めています。

 実は宮坂さんにお願いした後に、自分たちでもインタビューや行動観察をやってみたんですが、聞く勘所がうまく掴めず、十分な情報を得ることができませんでした。簡単だと思っていたら、想像以上に難しかった。そのような試行錯誤のおかげで自前部分と外部に任せる部分の線引きが見えてきたのも収穫かもしれません。そうしたことも踏まえて徐々に整理し、やり方も洗練されてきたように思います。

ビービット 執行役員/エバンジェリスト 宮坂祐氏(以下、敬称略):一度社内に文化として根付けば、DX、CXについてもかなり効率的にどんどんよくなっていくんですよね。そのためにはやっぱり、「わかりやすい」結果が出て、「利益につながった」という経験が有効だと思います。いきなり新規事業でDXを試そうとする会社もありますが、最初は成果が出やすい領域でやることをおすすめします。

板谷:確かに、いきなり新規事業から始めていたら、ここまで成果が出ていたか、他の課題に応用できていたかといえば、否でしょうね。

宮坂:なんとなく「顧客体験が大切」というのはコンセンサスになりつつあるけれど、そこに外部の力を借りてコストをかけようと考える人は案外少ないんですよね。でも、私自身はCXの専門家でありますが、自分たちのサービスを改善しようと思うと意外に顧客視点が持てなかったりします。これはもう人間のさがでしょうね。こだわればこだわるほどバイアスがかかり、埋没コストも含め、積み上げてきた自分を見て、「ここまでやったのだから正しくあってほしい」と願望が出てきてしまう。「1億円使っちゃったし」みたいな(笑)。

 これを矯正するには「手法論」が必要で、当然ながらコストもかかれば時間や心理的負荷もかかります。エキスパートとしての支援はもちろんですが、外部の第三者の視点も「顧客視点」を起点としたイノベーションには不可欠です。それを「やっぱり必要」と認めてもらうにはやはり、「利益が出ること」が効果的なんです。

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