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ナレッジワーク麻野氏と語る、事業にフィットする組織文化と行動指針──上場後を見据え、大切にすること

[後編]ナレッジワーク麻野耕司氏 × Onecapital 浅田慎二氏 × フォースタートアップス 志水雄一郎氏

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 麻野耕司氏(株式会社ナレッジワーク CEO)、浅田慎二氏(One Capital株式会社 代表取締役CEO)、志水雄一郎氏(フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長)の鼎談の後編をお送りする。前編では、プロダクト・ドリブンな起業家が日本で生まれにくい理由について語っていただいた。後編では、事業内容と組織文化をうまくマッチさせるためにはどのような工夫が必要なのか。一本のプロダクトを作り込むスタートアップと、多角展開するスタートアップのそれぞれに求められるカルチャーのかたちなどについて話題は展開した。

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模倣されやすいビジネスモデル、模倣されづらい組織文化

──麻野さんは組織コンサルタントとしても働かれてきた経験、そしてご自身でも起業された経験から、組織文化の醸成の仕方について何か考えてらっしゃることはありますか。

麻野耕司氏(以下、麻野):組織づくりは専門でもあるので、自社の組織はしっかりつくってきたつもりです。

 ナレッジワークはセールスイネーブルメントというジャンルのSaaSを運営しています。実は、かつては弊社以外にも国内でセールスイネーブルメントのSaaSに取り組んでいる企業が複数ありました。どうやら私たちと同じ米国の会社をベンチマークしていて、きっと似たようなものをつくろうとしたんじゃないかと思っています。ところが、その中で突き抜けて成長しているのはおそらくナレッジワークだけです。これには組織力の違いが大きかったと思っています。

 前職でスタートアップなどの組織のコンサルティングをするなかで気づいたのは、組織で差がつくことが多いということ、そして事業は模倣されやすいけれど組織は模倣されづらいということです。組織づくりについて一般解は存在しませんが、最適解を見つけることが大事です。

ビジネスに適したカルチャーを持つ企業が成功する

麻野:かつて、元マッキンゼーの波頭亮さんというコンサルタントと対談した際、「体臭の濃い」会社が伸びるとお聞きしました。アマゾンやアップル、グーグルには「体臭」、言い換えれば「らしさ」があります。働いたことがなくても「この会社はこんな感じだろうな」という絵がなんとなく浮かびます。

 実際、私自身の経験に照らし合わせても、どういう雰囲気の会社かわからない場合は、結果としてあまり伸びませんでした。ビジネスにフィットする濃いカルチャーをつくることが重要だと考えていたので、自分で起業する際には、エンタープライズSaaSに最適化した組織カルチャーをつくろうと意識していました。

 具体的な例として、前職で支援していたECサービスに特化したスタートアップと、複数の事業を展開しているスタートアップを比べてみます。それぞれビジネスのかたちにマッチしたカルチャーがありました。

 ECは仕組みのビジネスなので、小数の仕組みを考える人と、大多数のオペレーション部隊が働いています。この仕組みだとトップダウンがマッチします。また、ECはバリューチェーンが長いので、いろんな人が現場で仲良くしていないと、うまくいきません。だからフレンドリーな文化づくりに取り組んでいらっしゃいました。

 一方、複数の事業を展開しているコングロマリット型では、経営陣がすべての事業を考えることは難しいです。現場が考えることが求められます。そうすると組織内の関係性はフラットになっていきます。もちろん、皆がただ発言するだけでは会議は紛糾してしまいます。当然、意見がまとまるようにロジカルに発言することが重視されていました。

 当時、両タイプそれぞれ素晴らしい成長を遂げており、つくづく組織やカルチャーに絶対解はないのだ、ということに気づきました。

 経営者のキャラクターと事業モデルと組織カルチャーの3つがパチッと合致したときにスタートアップというのは成長するのだと思います。あくまで組織づくりは最適解なのです。

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

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